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水素政策
水素社会推進法施行で、水素・アンモニアサプライチェーンは本格投資フェーズに移行
臨海エリアで加速する事業化計画 欧米でも水素社会実装への大型支援始まる
水素エネルギーの活用促進を掲げる「水素社会推進法」の施行が、10月23日にようやく実現した。水素普及の課題となる供給コスト低減と需要拡大を図るべく、支援と規制を一体的に盛り込んだ同法は、水素エネルギーに関わっていこうとする事業者が最大の関心事として注視する我国の水素政策である。世界的にも水素エネルギー利用に向けた動きは賑やかになっており、各国でも大規模な社会実装に向けた支援策が立ち上がってきている。水素エネルギーへの投資はいよいよ本格始動となる。
水素製造への道
ターコイズ水素
メタンを原料にCO2を排出しない水素製造法の開発・実証が加速
メタンを700℃前後の熱分解により水素と固体の炭素に製造する技術が、CO2を排出しない水素製造方法として注目を集めている。元々は工業用材料であるカーボンブラックなどの炭素素材を製造する技術で既に確立され、水素は副生成物として扱われてきた。この技術により製造された水素は、ブルー水素とグリーン水素の中間に位置する〝ターコイズ(青緑)〟水素と呼ばれている。国内では発電所の脱炭素化や大気に放出される未利用を地産地消と掛け合わせた取り組みが進行する。
需要創出
再エネ貯蔵に配送用途、活用進む水素吸蔵合金
合金の軽量化と既存配送網の利用が配送実用化の鍵
常圧で水素を貯蔵できる水素吸蔵合金を利用した再エネの貯蔵や配送実証が増えている。重量がネックとなり定置式をメインターゲットとしていた水素吸蔵合金だが、LPガス容器をベースに合金や容器改良することで配送にも使えることが証明されつつある。合金メーカーと共同開発すること、LPガスなど既存配送網を活用できることが実用化への道筋となる。各社の取り組みを紹介していく。